「カリリ」。驚いたのは衣である。
揚げて休ませて切られたカツは、ずべて断面を上にして盛られる。
そのため下に網を敷こうが、キャベツを噛ませようが、「カツ下衣はしなる」という問題が解決されているのである。
その痛快な衣とミディアムレアに揚げられた肉のしなやかな食感の対比こそが、「マンジェ」の魅力である。
舌や鼻だけでなく、歯でもとんかつを味わう喜びを感じなくてはいけない。
この日は、よくいただきました。
写真の順に、上ロースカツとヒレカツ、TokyoX、あじ豚、イベリコ豚、黒豚、フォアグラカツ、ポークジンジャー、肉じゃがコロッケを4人で平らげたのである(といっても、ほとんどふなちゃんが引き受けてくれたのですね)
上ロースカツは、一見あっさりとした性格のようだが、付き合って行くと、気遣いや情に、女性らしさを深く感じる、30歳の女性
淡い品がある「TokyoX」は、色白で無口な20歳の女性。
ほんのりとした甘みを広がる「あじ豚」は、すらりとスレンダーで、話し方に時折色香を感じてどきりとさせられる、30歳の女性。
ぎしっと音が立つように歯が入って行く「イベリコ豚」は、色黒のアスリートで、笑顔が素敵な20代後半の女性。
甘い香りが弾ける「黒豚」は、下町育ちで、人情たっぷりで気立てのいい、少しふくよかな30代、いや40代の女性。
僕の好みでは、「黒豚」でありました。
さてポークジンジャーがまたいけません。豚の甘みに、ほどの良い濃さの甘辛いソースが絡んで、腹がいっぱいなのに、ついもう一切れと箸が伸びる、大変危険な料理です。
一方フォアグラかつは、キワモノかと思いきや、トロりと流れ出たファオアグラの脂が、豚の香りと甘辛いソースに混じり合って、猛烈にご飯が恋しくなる。
ご飯が掻き込みたくなるフォアグラ料理に、初めて出会いました。
そしてコロッケも、肉じゃがをそのまま鋳込んでコロッケの概念を崩す逸品である。
ポテトサラダも、ヒリッと後から聞いてくるマスタードが他にはない。
そう。あらゆる意味で「マンジェ」は、ROCKなとんかつ屋なのであります。
驚いたのは衣である
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