てれん。
肉が舌の上で、溶けるように消えていった。
てっぽうである。
鳥茂のテッポウ、豚の直腸である。
普通てっぽうは、くにゅっとした歯ごたえで、崩れていく。
しかしこのてっぽうは、ふわりと唇をすり抜けたかと思うと、噛む必要もないほど柔らかく、ほのかに甘い気配を漂わせながら喉元に落ちる。
ああっ。
あまりの儚さにうめき声が出た。
ううっ。
繊細な甘みに、声を詰まらせる。
三時間じっくり炊いて、そのまま煮汁を吸い込ませるように冷ましていく。
それだけではない。
長い直腸のうち、この柔らかさを持つ希少な部位だけを串打っている。
それは、豚一頭のうち串一本分しかない。