肉を食らうということは、こういうことだ。
「哥利歐」でイチボのステーキを食べる度に思う。
ガリッと焼かれた肉の表面に歯が当たると、塩気を感じ、そのまま肉に抱かれていく。
肉汁が血潮となって溢れ出す。
それは咀嚼して、肉のエキスを流失させているというより、肉自体が我々の歯を動かしているのだ。
肉の生命力が、食欲と官能をワシヅカミにして、顎を動かせているのだ。
あのいやらしい脂の甘えなど微塵もなく、肉は口の中で躍動し、圧倒し、きれいに引いていく。
鼻息荒く、鼓動も高まる自分に気づき、さらにコーフンする。
肉を、ステーキにして食らうとは、こういうことなのだ。