焼きキャビアである

日記 ,

焼きキャビアである。
薪の熾火で、慎重に火を入れたキャビアである。
「最初の一口は多目に食べてください」と、薦められたので、スプーンいっぱいすくい、食べてやった。
口に近づけると、スモーキーな香りが鼻を捉え、舌に滑り込ませると、生温かいキャビアがねっとりと広がる。
ゆっくりと口を動かせば、キャビアがつぶれて、口腔内を舐めまわす。
甘い。
いや、冷たい時には感じなかった、命の源となる濃密な卵の味わいが襲ってくる。
温められた塩気はうま味に変化して、心をゆする。
冷たいキャビアは、気高さを感じさせながらすましているが、このキャビアはくつろいでいる。
肌をさらけだしながら、身を緩め、色気を醸している。
いやらしい。とてもいやらしい。
薦められた、品のあるガメイを飲む。
すると、スマートな酸味とタンニンがキャビアの色気と混じり合い、うま味を持ち上げて、一層色気を増すのだった。

元町「bbq」にて