機内食シリーズVOL3
その後数多くのエアラインに登場した。
1988年ごろ、ニューヨークに安価で行くため、成田→シアトル→ソルトレイク→ニューヨーク(このシアトルから一旦南下するというところが安いミソなのだね)という経路のデルタ航空を選んだ時は、スチュワーデスがよかった。
日本のスチュワーデスに比べると、大分高齢の方々で、少々のことはこだわらない。
心も体も太っ腹である。
前席のアメリカ人が、シャンパンの小瓶を頼み、開けると、なぜか三分の二までしか量がなかった。
すぐさま彼女たちにクレームを入れると
「ごめんなさい。でも次のビンも開けてみたらまた少ないと気分悪いでしょ。だから全部あげるわ」
そう言って、カートに乗っていたミニシャンパンのボトル5本を、全部渡してしまった。
気前がいい。
僕は食後に、「バーボン下さい」とお願いした。
するとそのおばさんは、酒にうといらしく、ミニチュアビンを片端から取り出し、ラベルを読んでいる。
やがてジャック・ダニエルを見つけ、
「どうぞ、ケンタッキーバーボンです」と渡すので、老婆心がくすぐられ、
「これはテネシー、ケンタッキーはこれ」と、アーリータイムスを指した。
すると
「あなた詳しいわねえ」と、おばさんは満面の笑顔を浮かべ、
「あげちゃう」と、これまたミニチュアビンが5本並ぶのであった。
バージンでロンドンに向かったときは、菜食の選択を知り、頼んでみた。
これが正解で、肉や魚に比べ、まだ地上で生きているときの味がする。
また野菜料理ゆえに、味付けが薄いというメリットがあり、これからは飛行機に乗るときは、菜食主義者になることにした。
しかし隣席にいたおっさんが邪魔をする。
「僕は、数十回欧州に行っているから、何でも聞いて」と、のたまわうのである。
しばらくすると靴下を脱いで、テーブルとシートの間に挟んだ。
食事の際には
「これをかけると、おいいしいですよ」と、辛子や醤油の小袋を周囲の日本人に配り出したのである。
小さな親切余計なお世話は、胃によくない。
機内食はドラマである。
次回はそんな、「機内食ドラマ化へのお作法」を記したい。