書ける理由

日記 ,

書ける理由。
現在長く愛用している、万年筆とボールペンにノート、ペンケースである。
万年筆は、パイロットのカスタムタムヘリティジ912のファインミディアム、インクはブラック。
ボールペンは、ロメオ。ノートは書きやすいMD紙を使い、平綴で開きやすく、しおりの紐がついた、クリーム色の紙が目に優しい、ミドリのMDノート新書版、横軸。ケースはパイロットである。
ここに思いついたことや、食べた料理のことを書く。
料理はその構成要素だけを書くこともあれば、エロい表現を書き綴ることもある。
ノートも、ペンにもこだわらない。それが今までの自分だった。
なぜなら、ペンを買ってもすぐ失くすという自分のだらしなさを痛感しているからである。
しかし60になり、モノを大切にしなくてはいけないと考え、人に勧められて、この万年筆を買った。
パイロットの本社に行き、様々なペン先を試し、これに決めた。
購入して明らかに変わったことがある。
今までの文字は、ミミズがのたくりすぎて、時折自分でも判読不明だったのが、読めるミミズとなったのである。
そうなると、さらに書くことが楽しい。
空になったタンクにインクが注入されていく。
このインクが生きた文字となって、生まれていくことを想像する。
しばらく使ってみると、文字をきちんと書くようになっていることに気づいた。
一文字一文字、思いを込めている自分がいた。
言葉が走る。
想いが走る。
ノートに風情が滲み、心が温まる。
「文字を大切」に書く。
自分の気持ちをおざなりにはしない。
「モノを大切にする」ということは、単にペンを大事にし、失くさないということだけではなかったのである。