その肉は、健やかに動き回った証で締まっている。
噛めば、皮下のコラーゲンが、ゆっくりと顔を出して甘え、肉は、小さいながらも深い滋味があって、噛みしめることに感謝したくなる。
何回も噛んで、その小さな動物の命を感じ取る。
味噌は、甘みと旨みをその肉体にまとわせて、味わいを深め、我々に笑顔を運ぶ。
「ああおいしい」。
同席した人が、思わず小さな声で呟いた。
僕は頷きながら、そっと微笑みを返した。
福岡「四川料理 巴蜀」の「穴熊の味噌煮込み」。
大好きな変態。「巴蜀」の荻野 亮平さんの料理は