京都でお初。

食べ歩き ,

今日もありがとうと、午前11時、生ビールと燗酒を頼む。
「板わさ」と「利久麩」もお願いした。
板わさはやや甘いが、プリッとした食感ではなく、ふわりとした、余計な混ぜ物がない、正直な焼蒲鉾である。
こいつを、ビールと燗酒でつまむ。
最後は、紫蘇に蒲鉾と山葵を包んで食べた。
利休麩で酒を飲むのは、初めてかもしれない。
上には、柚酢を加えた染めおろしが乗っている。
でも、こっくりと煮られた、麩だけを食べ、おろしは合わせずにそれだけを食べるのが、よかった。
互いに3分の2ほど食べたところで、ニシン棒煮もお願いする。
板わさと利休麩を、ちょうど食べ終える頃、棒煮が運ばれた。
まさに、ジャストな注文ができたと、1人ほくそ笑む。
棒煮は、頭と尻尾で硬さが違う。
頭部分は、ぼそっとしっとりの間にあって、30回ほど噛むと消えていく。
尻尾は固く、40回ほどで消える。
どちらが好きかと、問われれば、尻尾側である。
硬く、ぼっそりとした、素っ気なさがいい。
だが噛むと、次第に旨みが頭をもたげてくる。
30回ほどで、味がぐんと膨らみ、緩いカーブを描いて喉に落ちる。
その32回くらいで、そっと燗酒をあわせてやるのだ。
すると、温かい液体に包まれたニシンが、息を返したかのように、穏やかな甘みを膨らませる。
それをなん度も繰り返して、、そばに移る。
そばは、ニシン棒煮が半分無くなった時点で頼んだ。
すると、丁度食べ終わったど頃合いに、はこばれた。
これまたジャストなタイミングである。
間のあかない、注文ができた時は、嬉しい。
自分を褒めたくなる。
蕎麦つゆは甘めで、鰹節の風味が立っている。
玉子丼は、関西には珍しい、醤油味の勝ったコックリとした味わいで、食欲を煽ってくる。
音威子府産だというそばは、二八だろうか、蕎麦つゆは甘めで、。鰹節の風味が強い
すべてを平らげ、蕎麦湯を飲みながら、昼の幸せな時間を、ゆるりと反芻した。
何百回と京都に来ているのに、初「尾張屋本店」である