山形「そね田」

二番丁をマグマで迎え撃つ。

食べ歩き ,

「はい、二番丁!」。
「はい、もうせん」。
謎の言葉と同時に、串焼きが置かれる。
「マグマいっぱい」。
さらに隣の客が謎注文をした。
ここは山形、「焼鳥そね田」である。
人気ぶりはというと,開店1730の15分前には列が出来、開店と同時に満席となってしまう。
焼鳥と名乗っていても、鶏肉は出ない。
東京でもよくあるように、高かった鳥の代わりに豚を焼きながら鳥と名乗った、昔ながらの焼きトンの店である。
焼き台は二台。
ダメージジーンズに、ロックTシャツを着た,ファンキーな50代半ばの3代目と、4代目の31歳一斗君が焼く。
お父さんの串は、昔ながらにパシッと塩が効き、息子は優しい。
さあ酒はなにを頼もうかい。常連に習って
「マグマをいっぱいお願いします」。
「はあいマグマいっぱい」
お姉さんのようお母さんが、可愛い声で返事する。一升瓶を取り出し、三合徳利に注ぎ、鍋に入ったお湯で温め出した。
マグマとはマグマ燗酒の略で、熱燗をマグマに例えたのかもしれない。
お母さんは、指で温度を確かめ、コップに注いでくれた。
串の方は、おいしくてお代わりしてしまった二番丁の話をしよう。
豚の横隔膜サガリを串にして焼くのだが、その際に出た端材や筋、軟骨などをネギと重ねて出す。
写真一番目と二番目がそうである。
サガリもおいしいのだが、これにハマった。
一番上、真ん中、下と食感の違う部位が串刺されていて、楽しいのである。
噛むほどに味が出て来る肉に、酒が進む。
お父さんもお母さんも、息子さんも人がよく、誠実な商売を続けている。
5時半から始まり、そのお客さんが帰ると別なお客さんがやって来るのだが、その時にはもう品切れの串もある。
お値段は食べて飲んで3千円くらいかな。
息子さんが戻ってきてからは、自然派のワインも置いている。
おひさま農園の野菜も素晴らしい。
野菜や他の串の話もしたいのだがそれは後ほど。
山形「そね田」