三条のほっこりやは、店開けにいくにかぎる。お母さんと世間話をしながら、次々と出来上がるおばんざいのてぎわのよさを肴に、ゆるりと飲むのだな.
かぼちゃの炊いたん、壬生菜とお揚げの炊いたん、トウガンとエビの葛煮、大根と牛スジのおでん、じゃこと伏見唐辛子の炊いたん、鯖の梅干し生姜煮、そして、東京で、いや京都でももうであわなくなった、干しずいきとお揚げの炊いたん。
シャキッと歯が入れば、じんわりと甘辛いお出しがにじみでる。
板前の作った、すましたおばんざいではない、お母さんの味には、人情がしみて
2件目は、二条川端よこちょうで、一人刺し盛り、カツオはきめが細かく、タコが甘い。田酒を一合。
三軒目は、愛してやまない赤垣屋。時の染みた空間で、緩やかな自分と出会う(ただ酔っぱらっているだけともいう)。
ここのてっぱいは、魚介が入らず、ねぎとウドだけの実直が舌を優しくする。ああ