プリンは焼き菓子であるから、しっかりと火を入れて、固くしなくてはいけない。
その大原則は大切である。
しかし大原則に注視するあまり、他の二つを忘れてはいまいか。
一つは、プリンの生地アパレイユに、主役の卵の味わいが、きちんと表現されていることにある。
卵の甘みを消さない砂糖の量、なめらかにしすぎない牛乳の量を、精密に計算して、構成していく。
同じ卵であっても、季節によって多少違いもあるので、砂糖や牛乳も一定量ではない。
こうして蒸し焼き上がった生地は、濃密な卵の甘みが広がって、幸せを運んでくる。
もう一つは、キャラメルソースである。
焦しをどこで止めるのか?
世のキャラメルソースは、苦くして、大人の味と呼び、それはそれでいいが、エレガントは生まれない。
ほのかな苦味と濃縮された甘みがバランスをとってこそ、美しい。
これらの理想が、「ラブランシュ」のプリンには、すべてある。
だからこそ食べた後に、夢見心地となるのである。
プチフール
★八角のグラニテ
ポルチーニのクリームブリュレ







