今フランス料理では、多くの日本食材や調理技術が用いられるが、これほど理解が深く、かつ見事に自国料理と融合させ消化した外国人シェフはいないのではないか。
例えば純度を高めたフォアグラと桃へ注がれる、鰹節ならぬ鴨節の出汁。
手長海老と仔兎を華やかに包む、甘夏の香りと酸味。
さらには鳩のサルミソースに隠された、イタリアンパセリの香りのように、リオネル・ベカシェフの生地や故郷、フランスのエスプリが皿から放たれる、血を感じさせる料理。
料理のテーマは“エアリー”だが、単なる軽さではなく、我々の楽しい記憶を喚起しうる力を持つ、新たな空気の創造である。
ここに、ソムリエ若林英二氏、元「ジョエルロブション」のパティシエ成田一世氏という、スーパーチームの刺激的アプローチが加わる。
しばらく見逃せない店である