〜歯医者は秋田に限るの巻 第3章〜

日記 ,

〜歯医者は秋田に限るの巻 第3章〜

前号から続く。
見知らぬ土地で歯医者を探すのは難しい。
ましてや通うわけではない。
取れた前歯を緊急でつけてくれ、というだけである。
そこで賢明なる私は考えた。、
これは1番家賃が高い場所に出している歯医者にしようと。
そこで駅前ビルに入っている歯医者に決めた。
正解である。
受付嬢の応対が柔らかい。
治療の椅子が6台もある。
清潔で明るい。
そして何より、ピンクの制服を着た歯科衛生士さんが、皆、秋田美人なのである。
マスクしてはいるが、皆色白で目がぱっちりである。
治療は前歯だが、先生の施術前に、全部の歯を1本ずつ点検してくれる。
薄目を開けると、口の中を覗き込みながら、まあるい目で一心に口の中を見つめる秋田美人がいた。
想像してみてほしい。
佐々木希が、歯科衛生士のユニフォームを着てマスクをし、懸命に歯を一本一本触りながら、自分の口を見つめている姿を。
歯がむずむずした。
きっと生まれて初めて、歯は恋したのに違いない。
1時間かかって、ようやく歯はついた。

その後の昼ごはんは寿司を食べる。
つまみに蟹とハモが出た。
どちらも柔らかい。
だが悲しいことに、歯はまた外れたのである。
たった2時間の命だったが、またいつか秋田に来たら歯が抜けないかな、と思っている自分がいた。