「救いなし」。
朝八時、おせじにもきれいとはいえない麺屋さんに、オシャレな女の子が次々と入っていく。
近くのファッションビルのショップ店員だという。
女の子達は、片手に空の丼、片手にいくつものビニール袋を抱えて出てくる。
ビニール袋の中は、それぞれにスープ、麺、具である。
つまり彼女達の朝食で、日本でいえば、109の店員が、富士そばや吉牛でテイクアウトをしてもらっているようなものである。
ありえん。といいながら僕らも朝飯を食いに店に入り、排骨麺、モツ麺、高菜麺、担々麺、水餃子を頼んだのであった。
紙の丼に入れられているが、一杯5元(90円)と聞けば嬉しいよね。
でも当然ながら、皆赤い。皆辛い。
平打ち細麺は唇に優しく、しっこりとしてうまい。でも辛い。
「泡菜頼みますか」。すかさず趙陽さんが助け舟。
「はあいお願いします」。泡菜で、消火しながら食べるぞお。
しかし、泡菜も赤かった。辛い。
成都の洗礼、まったくもって、救いなし。