「今日の主役は器です」。
有田でスペシャルディナーを演出した、「六雁」の秋山能久シェフは、冒頭にそう言われた。
いや主役は、器であり、料理であり、有田や佐賀の食材である。
クエやイチジク、栗や蛤、アオリイカや自然薯、鶏肉や穴子。
秋山シェフに第二の命を吹き込まれた食材が、この日のために特別に設えられた器の上で、躍動する。
器が料理を輝かせ、料理が器を引き立て、食材が歓喜の声を上げる。
敬意に満ちた料理によって、400年間育まれて来た有田焼という文化の未来が、僕らの心を包んだ夜だった。
全10皿と、創作和菓子師・御園井裕芙子さんによる華やかな和菓子の全貌は別項で