ST Anselm ブルックリン。

食べ歩き ,

ST Anselm ブルックリン。
まだ旅は終わっていない。
だが今回で最も、うまいステーキなのではなかろうか。
美味しき肉は、見た目でわかる。
「早く切って早く食え」。そう肉が叫ぶのである。
こげ茶に焼き色がついたステーキを切って、かじりつく。
ガリッ。旨みが凝縮した表皮が、音を立てる。
歯が肉に吸い込まれると、肉汁が舌に滴り落ちた。
猛々しい滋味が、激流となって舌を飲み込み、喉から胃袋におちていく。
「肉を喰らっているぞ」。立ち上がってそう叫びたい情動が走る。
肉もうまければ脂もうまい。
なにかそこには、根源的食欲を焚きつける扇動があって、鼻息は荒く、体から蒸気が上がるようなコーフンが駆け抜けていくのだ。
ニューヨークで、新保さんと肉を食らう。
今回の旅の目的の一つで、11.12.と肉を喰らい、昨夜の肉が最高だった。
カリフラワーグリル、フェンネルのグリル。アイスバーグレタスとブルーチーズ、ベベーコンオイルかけのサラダも最高。
肉を切り分ける新保さんも、心なしか嬉しそうだ。