NYでカツサンド

食べ歩き ,

「惜しい」。
思わず呟いてしまった。
きっと日本で食べて感動し、再現したかったのかもしれない。
あるいは、NYで密かにブームとなっているらしく、挑戦したかったのかもしれない。
「estela」でカツサンドの文字を見つけ、マッキー牧元としては看過するわけにはいかず、思わず頼んでしまった。
お姿は、カツサンドのままであり、味もまったく変な手は加えていない。
パン、トンカツ、味噌入りソース、千切りキャベツと、王道ではないか。
ただソースの量が多く、カツよりもソースの味が勝ってしまっている点と、カツが揚げ過ぎで、肉汁かやや損失している点、見た目ほどパンとカツが一体化してない点が、実に惜しい。
パンをトーストし(もっとキメが細かい食パンがあればだが)、ソースの量を減らし、カツの揚げ具合を一歩手前で止め、挟んだ時に、もう少し抑えてなじませると、より良きカツサンドになったろう。
しかし、これは散々カツサンドを食べてきた、我々日本人の保守的考えなのかもしれない。
シェフは、そこを理解しながらも、あえてこうしたのかもしれない。
あるいはシェフが不在で(その様子だった)、揚げ加減がわからず(後に頼んだ子羊もそうだった)、またソースも、普段より塗り過ぎちゃったのかもしれない。
なにしろ付け合わせには、生を薄切った土の香りがする大根と西洋梨が添えられており、その感性は、鋭い。
またアンティーヴサラダの精細な構築にも、抜けたセンスを感じられたシェフだけに思ったのである。
その辺のところを、是非シェフに聞きたかったなあ。

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