新発田「鮨登喜和」

初黒。

食べ歩き ,

また一つ。
生まれて初めて食べる食材に出会った。
黒穴子である。
普段食べる穴子は真穴子で、黒穴子は、青森から台湾までに生息し、真穴子より味が落ちるとされて廃棄されることもあるという。
不憫なやつである。
そして大きい。
食べた黒穴子は1.5kgもあったという。
真穴子と同じように煮たものを握り、煮ツメを塗って出された。
ただ皮目が上である。
口に運ぶと、まずツメの甘さが広がり、次にふんわりと崩れていく穴子から優しい甘みが現れる。
ここまでは今までの煮穴子と変わらない。
だが皮下に、たくましいコラーゲンがあって、その食感と別な甘味を感じるのである。
はらりと散る酢飯とふわりと溶ける穴子が抱き合う感覚に、もう一つコラーゲンという別の柔らかさが加わる。
「夢だけを見させないぞ」と、言っているかのようなしぶとさがあって、これは虜にさせる。
今の時期新潟では、湧くようにたくさん獲れ、パタリといなくなるのだという・不憫だがしぶといやつなのだ。