第二回エスコフィエの料理会

食べ歩き ,

「現代では、エスコフィエが生きていた時代と、同じ質の食材は手に入らない。だからレシピに従ってはいますが、同じ料理ではないのです。しかし現代の食材に、時には現代の調理法も加えて、エスコフィエが目指した料理のエスプリを再現しました」。
冒頭に、セルリアンタワーの福田シェフは、そう挨拶された。
第二回エスコフィエの会である。
「こちらへどうぞ」。ホテルのサービスマンに案内されて会場に向かう。
こんなところに部屋なんてあったかなあと思う、裏の動線を歩いて着いたのは、なんと厨房であった。
厨房の横に、特別に食卓が置かれている。
究極のシェフズテーブルではないか。
すでに着席している人たちの顔が高揚しているのがわかる。
「食卓においては、料理の質と居心地の良さに勝るものはない」。
エスコフィエの言葉が蘇った。
一品一品の料理が完成される様を見、鍋から皿へと盛られ、何人ものサービスマンが朝鮮やかにソースをかけていく。
数えてみれば厨房やサービスのスタッフ数は、我々の数より多い。
なんと贅沢なことなのだろう。
華麗で、デカダンスの美しさに満ち、妖艶なエスコフィエの時代のフランス料理は、こんな粋な演出によって、さらに輝いていた。
全員が酔った。料理に、演出に、古き良き時代のエレガントに、酔った。
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