「肉一皿」700円

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羊ブームが来ている。ジンギスカンの店が増え始め、モンゴル料理の店や仔羊肉を用意する焼肉屋、あるいは羊肉だけを焼く焼肉屋まで登場した。羊や仔羊はくさいから苦手なんていうのは過去の話だ。その人気のほどが伺えるのがこの店「金太郎」である。

細長くカウンターが伸びた店は、開店と同時に満席、やがて外には待つ人の列ができる。店に入り、上着を壁にかかったケースに終い、腕まくりをして臨戦態勢。千円グランプリ精神で望むなら、「肉一皿」700円とねぎ、モヤシ、たまねぎによる「野菜三品盛」600円、それに「いなきび飯」210円を頼み、自製ジンギスカン定食とすればよい。はや、目前の七輪に置かれたジンギスカン鍋には羊の脂が用意され、煙を立て始めている。脂がいき渡ったら肉の登場だ。アイスランド産だという仔羊の生肉は、観光客相手のジンギスカン店で見かける冷凍薄切り肉とは違い、厚さ1センチほどに切られた凛々しいお姿。一枚慎重に焼いてそのまま食べれば、肉は実にしなやかで特有の豊かな香り広がる。甘辛ダレにつけて食べれば、途端にご飯が恋しくなる。焼きのコツは、最初片面をさっと焼き、裏返してしっかり焼く。長方形の肉片なら4面を焼くのを忘れずに。まあそこまで慎重にならずとも、気楽に焼くのもジンギスカンの楽しみ。困るのは、合いの手に野菜をはさみながら食べ進んでいると、何皿でも食べられそうになって来ることである。

 

「金太郎」

「肉一皿」700円

港区新橋3-19-8

3432-8929

閉店