おっさんの聖地

食べ歩き ,

誰もいない休日の夜。
密やかな楽しみ求め、足は沼袋。
なんたって店名がいい。
「ホルモン」だもの。

店の前に立ち、「ご無沙汰しちまいました」と、しばし感慨にふける。
中は満席。
運よくカウンターに一つ空き席。
ま、カウンターなんてしゃれたもんじゃない。
焼き場を挟んで両側にずらりと並んだ、お見合い席。
客は
全員おっさん。 
全員常連。
ほとんどが独酌客。
中空見つめ、2分おきにハイボールを口に運ぶおっさん。 
ジュースのようなものを(品書きにはない?)カウンターに置き 
それで焼酎を割っては、少しずつ飲むおっさん。

目の前のおっさんは三人組だけど、わいわいと話すことなく、 
銘々がマイペースで飲んでいる。 
目線の先はテレビのニュース。 
左端のおっさんは夢の中。

ここはおっさんの聖地。
ぼくも充分おっさんだけど、ここにくるたび思い知らされる。
まだまだおっさん指数が足りていないなあと。

さあやきとんだ

まずはレバーと仔袋ちょい焼きだあ

ふふふ。
ちょい焼きの、いとけない食感にほくそ笑み。
お相手はサッポロ焼酎紅梅?割り

そうチューハイなり

お次はタン、ハツ、ガツにカシラといってみた。
ジューシーなカシラに、ガツに、歯がむっちり食い込んでいく。

ヒモのタレに目を細めお新香はさんで
煮込みも行ってみよう

こりゃあ、ガツにシロ、筋が入ってるね。
よし、七味をたっぷりかけて可愛がってつかわそう。
今度は焼きだ。
とまらない。
マメ、テッポウ、ヒラ、軟骨、チレ、アブラといいてみた。

焼きよし、脂切れよし、肉汁よし
三拍子そろっちゃ飲むしかないな。
なにかに理由付け飲むのも
おっさんの証。
いやいや、ここのおっさんたちはそんなの超えて、無我の境地。
みならわなくちゃ。
いい気分で店を出て、踏み切り越えりゃ、またホルモン

うーん。
タベアルキストとしては比較対象研究しなければいけない。
仕上げに二本、プチホルホン
と、また理由をつけてはしご酒。
結局
皆さんの予想通り。
酒は飲むわ、何本も食うわの、 懲りないおっさんなのでした。