「鳥めし」復活

駅弁 ,

1991年4月、駅弁マニアが悲嘆にくれる事件が起こった。
明治以来、新宿駅で駅弁製作販売を行ってきた「田中屋」が日食に合弁され、駅弁販売業務が譲渡されたのである。
だがマニアが悲しんだのは、そのことではない。
譲渡とともに、名物駅弁であった「鳥めし」の製造販売が廃止されたのである。
「あの鳥めしがもう食えないのか」。
新宿駅のホームでは、なんの前触れもなくなくなってしまった鳥めしに、呆然と途方にくれる人たちがいた。
田中屋の「鳥めし」は、高崎の「鳥めし」、名古屋松浦商店の「鶏めし」とともに、日本三大鶏めしと呼ばれていたほど、人気が高かったのである(北九州折尾駅の「かしわめし」もおいしいけどね)。
それから10年、「日食田中屋」は、「鳥めし」を復刻させるのである。
中央線のホームのみで販売されていたそれを、買って泣いたことを覚えている。
しかしいつのまにか販売中止となっていた。
あまりにシンプルすぎて需要がないのだるうか?
それがなんとまた8年ぶりに復活したのだという。
値段は680円と安い。
最近はやたらゴーカにする傾向にあるが、駅弁はこれでいい。
ナスの辛子風味漬物と野沢菜わさび漬け、大根の漬物、ミカンの“シラップ漬け”。
変わらない布陣である。
松浦商店や高崎と違い、そぼろが粗くてでかく、色が濃い(つまり醤油が多い)のが特徴である。久々に食べてみると「こんなにしっとりとしていたらしかん」という感じだが、味わいといいひき肉の大きさといい、そしてかなり甘っ辛い味付けといい、高崎や名古屋とは違う、江戸っ子好みの味なのである。

追記:この弁当に「両国国技館焼き鳥』をツッければ完璧だろうと思ったが「8月まで工場が稼働しない」とのこと。代わりにチキン弁当の唐揚げを買って、鳥と鳥にしてみた。