長極薄の卵かけ御飯用鰹節を試してみた。
しかしこれを食べるには、1週間待たなければならない。
まず醤油に、細い出汁醤油専用宗田節を漬け込む。
そして1週間待つと、宗田節から滲み出た旨味が醤油に溶け込み、なんともふくよかな味わいとなる。
まず熱々ご飯に、長極薄鰹節をかけた。
かき込む。
ああ。もうこれだけで幸せだ。
ご飯の甘さの後ろから鰹節の香ばしさが追いかけて、さらにご飯が恋しくなる。
次に1週間宗田節を漬け込んだ醤油を卵と混ぜ、ご飯にかけ、さらに宗田節をかけた。
これはいけません。
一口食べた途端に笑い出す。
黄身の甘み、ご飯の甘みに豊かな醤油の旨味が抱き合い、宗田節の香りが誘惑する。
どんなTKGもかなわぬ、堂々たる品格がある。
食べながら、宗田節を作り続ける福岡から嫁いだというチャーミングな奥様と、いかにも実直な新谷さんの二人を、思いやった。
胸の内が、少し熱い。
淡々と語る新谷さんの目の奥に燃える、伝統を受け継ぐ者の覚悟と責任を感じて、熱くなった。