<生涯おむすびベスト10>

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<生涯おむすびベスト10>
「おむすびバトン」でおむすびへの恋慕が止まらなくなったので、今までの生涯で出会った、おむすびベスト10を勝手に発表!
10位 長崎「かにや」。
おにぎりは30種類。
おすすめは、天かす、しそわかめ、たらこ、鮭、チョーコー醤油とまぶしたおかか、葉唐辛子、紅ショウガとあるが、一押しは「塩サバ」。
頬張れば、ひのひかりの甘みが広がり、有明海苔の香りが広がり、塩サバのうま味が追いかける。
9位 渋谷「TAMA」の「おにささ」
今渋谷の「TAMA」で展開中のテイクアウト。石垣島のソウルフードということで、鳥ささみのフライと握った、おにぎりささみである
ひじきと干し椎茸のご飯は、もち米が入っているかのようにもちっと甘く、その食感とフライのカリッとした歯ごたえの対比がたまらん。
これでもなかなか味が想像できないと思うが、かじった瞬間「うまっ!」と叫んで、はまることになるから要注意。
8位 函館「季肴酒」天然岩のりのおむすび
11月頃から寒い日が続いた年だけ、翌年の初めまで収穫されて干される、松前産の天然岩のりを巻いたおむすび。
酒が飲めるおむすびである。
噛んだ瞬間に、潮の潮たる塩味が、舌を優しく打つ。
噛んでいくと、うまみが次から次へと湧き出でて、かぶさっていく。。
燗酒を飲めば、酒の甘みと米の甘みに海苔の甘みが混じり合い、極上の笑顔を呼ぶ。
7位 弘前「土紋」の「筋子のおむすび」。です」
新鮮な筋子を使ったこそ生まれるおいしさで、噛むと筋子がずるりとでてこない。
いくらのようにポロポロと散って、甘みを爆発させる。
だ。
ああ、これを毎日食べることのできる、弘前の人が羨ましい。
6位 南魚沼「うおぬま倉友農園おにぎりや」
ロードサイドにある簡素なおにぎり屋で、三角頭巾かぶったおばちゃんたちが握ってくれる。
秘訣を聞けば、「中に空気を入れるようにね」と、おばちゃんがウインクした。
かくして握られし、塩にぎりは、おにぎりではない。
三角形の、正真正銘おむすびである。
あむむと噛めば、はらりとくずれる。
コシヒカリ新米の甘い香りが、口いっぱいに広がって、僕は崩れ落ちた。
5位 赤坂「渡なべ」の「筋子のおにぎり」
店主渡辺さんのお姉さんが、新潟関川村のコシヒカリを羽釜で炊いてくれる。
もう、そう聞いただけでおいしいじゃないですか。
光り輝く清いご飯は、香り高く、優しい甘みに満ちていて、一口食んだだけで幸せが満ちてくる。
一口頬張ると、筋子が現れる。
卵の甘みと塩気を、ご飯が受け止め、やがて一緒になって喉へと落ちていく。
筋子もご飯に包まれて、嬉しそうである。
少し温められて甘みを増し、それがご飯と相待って、顔はだらしなく崩れ、心は緩んで、鼻息が荒くなった。
4位 赤坂「がっしょ出雲」の十六島海苔のおむすび。
ざぶん。
おにぎりを食べようと、あんぐりと開けた口に、波しぶきが舞う。
唇を、口腔を、歯を舌を、荒波が打ち付ける。
荒れ狂う冬の日本海の岩場で、「シマゴ」と呼ばれる人達によって摘み取られた十六島海苔は、えっちゃんが山奥の田んぼで、手間ひまかけて育て、2年連続日本一をとった仁多米と抱き合わされた。
このおむすびに値をつければ、一個五千円にもなるという
なにしろ50g1万円という真の十六島海苔に、5キロ8800円の米であり、どちらも入手が極めて困難だからである。
海苔の香りが、凄まじい。
海苔のうま味が凄まじい。
たくましくも優しいうま味が、舌を圧倒し、そこにご飯の甘みが追いかける。
「コシヒカリでは海苔の旨味に負けてしまいます」というほど、この仁多米の甘みは、たくましい。
海苔のうま味を包み込みながら、至上の喜びへと運んでいく。
それは、奇跡である。
打ち付ける波をものともせず、岩にしがみついて育った、強靭な海苔の生命力と、人里離れた厳しき環境で生き抜いた米が出会った、奇跡である。
ベスト3に行く前に、番外編
ミャンマー北部の町シャン州ニャウシャンシェで、おばちゃんが握ってくれた、豚の血とラードのおにぎり。
豚の血を混ぜて米と混ぜ、味の素入れてちまきで蒸した、もち米入りおにぎり。
ラードも混ぜ込んであるので、ピッカピカ。
それよりもおにぎりではなく、おむすびなのが面白い。
それでは後でベスト3を発表。