<心が結ばれる>

日記 ,

<心が結ばれる>
最近FBやブログなどで、憂鬱とか鬱々としているとか、気が滅入っているとか、鬱屈しているといったような発言を見るようになった。
家にこもって、人と会わないでいるせいだろうか。
言葉というのは不思議なもので、”自宅待機””外出自粛”というより、”ステイホーム”といったほうがスマートに感じる。
横文字というということもあるが、「自ら進んで家にいる」といった、どこか能動的な気持ちが言葉から感じられるせいかもしれない。
でも一方で、”ステイホーム”なんて言えるか、しゃらくせえという本音がある。
ならば、”自宅待機”よりも”自宅籠城”といったほうが、いい気がする。
あるいは、”自宅出番待ち”. か。
先の憂鬱という言葉であるが、これはまったくもってマイナスの気分になる。
もうこれ以上救えないほど、暗い。
語源は中国古典のようで、「憂」は「心配」「悩み」「とどこおる」といった意味を成し、「鬱」は「茂る」「群がる」「盛ん」のほか、「ふさがる」「こもる」といった意味が含まれる。
心配でふさがっている。悩みがこもる。
ううむ、どうしようもないじゃないですか。
英語に直訳すれば、Melancholyで、古代ギリシャ語のmelas(黒い)+khole(胆汁)、つまり黒い胆汁に起因するという。
つまりヒポクラテスが考案し、中世のヨーロッパまで引き継がれた“四体液説”という古代医学ですな。
陰陽五行説やアーユルヴェーダと似ているが、もっと非医学的なやつですな。
身体は、血液、 粘液、黄胆汁、黒胆汁の液体に作用され、黒胆汁が優勢な人間(melancholic)な人間は、陰気で憂鬱になるという説で、やはり超マイナス面しかない。
一方大和言葉は、憂鬱や鬱屈な状態を「結ばれる」と表現する。
「今は心が結ばれて、家にこもっています」という表し方だが、どうだろう。
憂鬱なんかを使うより、よほど気が晴れる。
「心の糸が絡んで、結び目ができる」という意味合いだが、言われた方も鬱な状態にならない。
そしてこの言葉のいいところは、
「今は心が結ばれています。でもゆっくりと、絡まった糸を解いていこう」という前向きな気持ちになれることだと思う。
今の時期だからこそ、この言葉が広まって欲しい。