13軒

食べ歩き ,

4月に鰻屋を13軒回った。
東京の西は調布から 東は本所吾妻橋まで。名古屋も一軒
基本は「蒲焼定食」を頼み、それが叶わないところはうな重かうな丼を頼んだ。
価格帯は3千円から5千円。
ただ食べても仕方がないので、「東京とんかつ会議」風に点数をつけてみた。
(1鰻の香り 2味わい 3焼き色 4食感 5タレの味 6ご飯 7吸い物 8お新香 特記1点 満点25点)である。
満点はなかったが 23点が1軒 20点越えがそれ以外に5軒。
僕の舌でも、あらためて鰻の基準がわかりかけてきた。いかに白を入れ、いかに蒸すか。質もさることながら個体差をいかに見切るか。
タレの味をどう考えるのか。どう鰻になじませるのか。どんな色合いを理想としているのか。ご飯の炊き具合、新香の意味、吸い物の味と温度。
今年は稚魚が大量だそうです。
問屋が値を変えないため、去年高くなった鰻が安くなることはないが、養殖の質は高くなってきている。
さあ鰻を食べに行こう。

1江戸川橋「はし本」3300円 16点 恐らく6本もの

(鰻の香り2 味わい2 焼き色2 食感2 タレの味2 ご飯2 吸い物1 お新香3白菜。キュウリ、奈良漬 特記なし 各3点満点特記1点 満点は25点)

2銀座「野田岩」 4800円 22点 恐らく4本もの

(鰻の香り2 味わい3 焼き色3 食感2 タレの味3こっくりとして丸い ご飯2 吸い物3滋味深い お新香3 特記サービス 各3点満点特記1点 満点は25点)

3東高円寺「小満津」 4200円 24点 4本もの

(鰻の香り3 味わい3 焼き色3 食感3ふわりとムースのよう タレの味2やや甘が勝っている ご飯3固めで良い 吸い物3薄味の素晴らしさ お新香3人参、蒟蒻、大根、キュウリ 特記焼き鳥 各3点満点特記1点 満点は25点)

4湯島「小福」3000円 11点 恐らく5.5本もの

(鰻の香り1 味わい1 焼き色2とことどころに焦げ 食感1ぐずぐず タレの味1かなり甘い煮詰まっている ご飯1少し蒸れくさい 吸い物2 お新香2キャベツ大根、人参、キュウリ 特記なし 各3点満点特記1点 満点は25点)

5本所吾妻橋「鰻禅」 3000円 16点 恐らく5本もの

(鰻の香り2 味わい2 焼き色2 食感3 タレの味1甘く醤油味が勝っている ご飯2柔らかい 吸い物2旨味が少し乏しい。ゆず、三つ葉、かまぼこ お新香2キュウリ人参大根浅漬け 特記なし 満点25点)

2014年6月より同じ本所吾妻橋界隈で、新店舗に移り、小体な店を、ご夫婦二人で切り盛りされる。「うな重」、「蒲焼ご飯」は、新香と肝吸いつきで、「上」3000円、「特上」3500円、「二段重」6500円。上と特上は鰻の大きさの違い。

 いずれも注文を聞いてから、さばき、焼き、蒸して、焼く。蒲焼は強く、しっかり焼かれて、飴色も濃い焼き上がり。皮が舌に当たらず、うまく蒸され焼かれている。

やや醤油が勝った辛口のタレは、強く焼かれた鰻と非常に相性よく、鰻好きを満足させる味わい。吸い口に柚子、三つ葉と蒲鉾が入れられた肝吸いは、淡い味に仕立てられて、蒲焼の味を活かす。

お新香は、キュウリ、ニンジン、大根、キャベツの浅漬け。

お酒を頼むと、お通しに鰻の佃煮や、肝のしぐれ煮などが出される。また肴は、焼き鳥などもよく、鰻のヒレ焼きやヒレとネギの串焼きなども用意されているときもあるので、神亀などで一杯やってから鰻を迎えるのもいい。

6新御徒町「やしま」3300円 20点 恐らく5本もの

(鰻の香り2尻尾に少し匂いあり 味わい3脂の甘み 焼き色3 食感2皮が少し当たる。皮と身が剥がれる タレの味2みりんが勝っている ご2飯 吸い物3熱々!肝に苦味なくムースのよう お新香3大根細切りと大根葉 特記なし 満点25点)


 通りに小粋な佇まいを見せる「やしま」は、浅草の老舗鰻屋「初小川」出身のご主人が営む。テーブル席と小上がりが配された店内は、清潔感に富み、ゆる地と鰻を楽しむことが出来る。

 「うな重」は、「上」二千九百円と「特上」三千五百円。蒲焼きと白焼きは、「上」二千七百円と「特上」肝吸いと新香付きで、三千三百円。いずれも鰻の大きさの違いである。予約すれば、来る時間に合わせて焼いてくれるが、もずくや板わさ、焼き鳥など軽い肴(380円〜)でじっくり待つのもよい。

 上をいただいたが、、ふっくらとした身の厚い鰻で、焦げ一つない飴色の焼き色で登場する。

 鰻は、脂の甘みがしっかりありながらくどさのない、鰻のおいしさがあり、やや甘みの勝ったタレの香りもいい。

 ご飯はほどよい固さで、肝吸いは熱々で出され、肝はムースのようにやわらかくおいしい。

丁寧で律儀な仕事を感じさせる、鰻屋である。

7日暮里「いなげや」2600円(蒲焼だけの価格ご飯肝吸いつけたが不明)13点 恐らく5本もの

(鰻の香り2 味わい1 焼き色2 食感2 タレの味1 ご飯1 吸い物2 お新香2 特記 各3点満点特記1点 満点は25点)

昭和二年創業、昼は鰻屋、夜は、鰻と鶏料理、地酒を揃えた気さくな居酒屋として、地域の人気を呼んでいる。

 鰻は、関東風と蒸さない関西風の焼き方が選べるのが面白い。蒲焼は強く、しっかり焼かれて、飴色も濃い焼き上がり。

やや甘味が勝ったタレは、強く焼かれた鰻と非常に相性がいい。一方、関西風はカリッと焼かれ、香りよく、一興あり。

 「うな重」は、新香吸い物つきで1900円から、「鰻ひつまぶし」も関東風と関西風が選べ、3200円。その他、蒲焼と炒り玉子をのせた、「鰻そぼろ重」2400円、浅葱と海苔をたっぷりとかけた、「和風うな丼」、塩焼きにした鰻をのせた「鰻塩丼」や白焼き丼(いずれも2000円から)など種類あり。

また早い時間に売り切れるが、鰻の肝やヒレ、レバーや小骨(1本320円)といった串焼きもおいしい。

日本酒だけでなく焼酎の揃えも豊富なので、鶏串や鰻串などで一杯やって

8赤羽「うきま」2200円 11点 恐らく6本もの

(鰻の香り1 味わい1 焼き色2 食感1 タレの味2 ご飯1 吸い物2 お新香1 特記 各3点満点特記1点 満点は25点)

うなぎオムレツ、うなぎ鍋、ウナわさなど変わった品書きあり

9明神下「神田川」5100円(サービス料15%込)22点 恐らく4本もの

(鰻の香り2 味わい3 焼き色3 食感3 タレの味3醤油の味が勝った辛口。醤油の角取れている。ご飯2 吸い物2小柱、青海苔、薄口品 お新香3キュウリと大根のぬか漬け、瓜の奈良漬 特記 各3点満点特記雰囲気とうざく 満点は25点)

ふんわりとして脂の甘さにじむ。皮は舌に残らないが切ったとき少し

うざくキュウリ極薄

10西荻窪「うな藤」3400円 17点 恐らく4.5本もの

(鰻の香り2 味わい2 焼き色3 食感2 タレの味2良いバランスだが少しだけ醤油の角 ご飯1今ひとつ 吸い物2 お新香2 特記 各3点満点特記1点 満点は25点)

青梅街道に面した小体な鰻屋さん。「うな重」は、「竹」2592円から「藤」4860円まで4種類。南アルプスの地下水を使って養殖された、「供水うなぎ」を使う。「出来上がりまで50分かかります」と、品書きの横に書かれているように、注文から捌き、焼き、蒸し、蒲焼にするので、急ぎの向きには予約の際にお願いするといいだろう。

 ただし肴が充実しているので、じっくりと飲んでから鰻を食べるのも良い。

 ある日の「お造り盛り合わせ」1296円は、平目、スミイカ、青柳で、いずれも質が高い。珍しい所では、「鰻きも天」324円はいかがか。サクッと揚げられた衣と、鰻肝のふんわりとした食感の対比が面白い。「焼き鳥」432円も、大きく肉汁のうま味に溢れ、おいしい。

 中がふんわりと焼かれた「白焼き」は、味にコクがあって、酒がすすむ。「うな重」は焦げ目なく、濃い飴色に焼かれている。脂の甘み、食感とも申し分なし。タレの甘さと辛さのバランスもいい。ご飯は固め、肝吸いは熱々で出される。お新香は、キャベツの浅漬けと、大根と茄子の糠漬け。

 お昼の「うな重」 円は非常にお値打ち。

11名古屋「鰻 木屋」2450円 12点 恐らく5.5本?

(鰻の香り1 味わい1 焼き色1 食感2 タレの味1 ご飯2 吸い物2 お新香2 特記 各3点満点特記 満点は25点)

佃煮かと思うほど味が濃い。茶漬けがちょうど良い

12調布「鈴木」「うな丼」 4700円 20点 5本もの

(鰻の香り3 味わい3 焼き色2 食感2皮舌に少し残る タレの味2 ご飯2少し柔らか 吸い物2焼き肝香ばしい味強め お新香3。キュウリキャベツ大根 特記山椒ミルで挽く肝焼きふわり 各3点満点特記1点 満点は25点)

コース七千五百園 お焼料4500円

13田園調布「平八」3900円 16点 恐らく5本もの

(鰻の香り2少し弱い 味わい2 焼き色2 食感2蒸しすぎか タレの味2いい。辛口 ご飯2 吸い物2熱々 お新香 特記 各3点満点特記1点 満点は25点)地元の人々に愛される、家族経営の鰻屋。昼は年配の一人客、夜は、近隣のサラリーマンや家族連れなどが、幸せそうに鰻をほおばっている。

 鰻は、蒲焼き、白焼き、うな重ともに吸い物と新香付きで、「椿」2500円、「竹」32百円、「梅」39百円。価格の差は、大きさの違い。また、「うなぎまぶし」二千九百円、「まぶしお茶漬けセット」三千二百円もある。

 注文を聞いてから裂き、焼き、蒸し、焼くため、急ぐ向きは予約がいい。常連は皆予約のようである。

 また日本酒が15銘柄以上、肴も、馬刺や酢の物、名物すじ煮込みなど充実しているので、じっくり飲みながら鰻を待つのもいいだろう。

 竹をいただいたが、五本もの(一匹2百g検討)の立派な鰻である。濃い飴色に焼き上がり、食欲をそそる。

 蒸しをしっかりかけた、柔らかさがあり、口に入れるとふんわりと、甘く溶ける。やや辛口のタレは、よく鰻に馴染んで、ご飯を猛然と食べさせる。

 お新香は、キャベツ、昆布、人参の浅漬け、吸い物は熱く、きちんと淡い味に仕上げている。町の鰻屋として、誠実に営んでいる心意気が伝わってきて、気持ちがよくなる店である。

築地・はいばら 12点

(鰻の香り1 味わい1 焼き色1 食1 タレの味1 ご飯2 吸い物2 お新香2 特記値段 各3点満点特記1点 満点は25点)

 築地場外の人気店。安価で鰻が食べられるとあって、連日盛況、昼時には列もできる。鰻問屋の「榛原鰻販売株式会社」直営店である。

 一番人気は、「うな丼」千五百円。小ぶりな鰻だが、ふっくらと焼かれ、十二分に鰻を食べた気になれる。また名物は、値段の違いは鰻の大きさの違いだが、一匹ついてうな丼は千円からあるのがうれしい。名物は、「元祖きも丼」千八百円。うな丼の上に肝焼きが乗った丼である。

 ビールを頼み、肝焼きでやってからうな丼を食べるもよし。肝を串から抜き、山椒を多目にかけて、ご飯と混ぜて食べるも一興。様々な食べ方ができる丼を試されたい。ただし、売り切れるのが早いので、要注意である。

その他「サービス重」1500円、うな重は、2000円、2500円、3000円。値段の違いは、鰻の大きさの違いである。