麻婆豆腐とは豆腐を慈しむ料理

食べ歩き ,

  • 1元祖麻婆豆腐(陳おばあさん幻のレシピ)

  • 2佳説麻婆豆腐(伝説の陳おばあさん第二のレシピ)

  • 3家庭麻婆豆腐(四川家庭風)

  • 4素麻婆豆腐(精進麻婆豆腐)

  • 5流行麻婆豆腐(四川レストラン風)

  • 麻辣四川豆花(麻婆豆腐の原型料理)

麻婆豆腐とは豆腐を慈しむ料理である。
その真実が昨夜、胸に染みた。
「麻婆豆腐5種類作ってくれますか?」
「いいよ。何種類でも作るよ」と返す趙楊さん。昨夜は、6種類の麻婆豆腐が出された。
全12皿中〆の蓮の葉包ご飯を除いて、すべてが豆腐料理、6皿が麻婆豆腐だが、味の変化があって飽きさせない。
それは、麻婆豆腐の生誕からの変容を知る、食べる麻婆豆腐史である。
・麻辣四川豆花(麻婆豆腐の原型料理)自家製豆腐の甘い香りと麻辣豆腐のせめぎ合い。
・元祖麻婆豆腐(陳おばあさん幻のレシピ)毛湯を使わず水で仕上げた、辛さ強烈なり
・佳説麻婆豆腐(伝説の陳おばあさん第二のレシピ)粗微塵にした羊肉の香りとハードな痺れ、油多用なれどしつこさを感じせない。
・家庭麻婆豆腐(四川家庭風)豚ひき肉を使い、辛さの中で優しい味わいがあってすうっと舌におさまる。
・素麻婆豆腐(精進麻婆豆腐)衣揚げした椎茸の食感が面白い。
・流行麻婆豆腐(四川レストラン風)牛肉を使い、豆腐は大きく、辛さもしょっぱさも油のコクも、後味のキレがいい。
「辛いやしびれより、まず豆腐の味をどう感じさせるかが大事」
「豆腐は旅をさせちゃいけないっていうくらいだから、大事に扱わなくちゃ。茹でるなんて言語道断」
「土鍋使って外から温めるはだめね。豆腐の熱くし、芯からの熱気が出ているからこそ冷めない」
「豆腐は包丁でなく、ヘラで切る」。
「醤油と胡椒は絶対入れてはだめ」。
辛さと痺れと満腹で、うつろになりつつある頭に、趙楊さんの愛ある言葉が響く。