鮭サンド。

食べ歩き ,

「お前は、学校へなにをしに来ているんだ」。
先生に諭された。
中学一年生の昼休みである。
鮭サンドが、大好物だった。
胡瓜と玉ねぎを角微塵に切り、鮭、マヨネーズと合わせ、バンに挟んだサンドイッチである。
「明日のお弁当は、鮭サンドが食べたい」。
母に頼んだ。
昼ご飯時に、胸をときめかせながら包みを開く。
サンドイッチに齧りついた。
だが少年は気づいたのである。
鮭のサンドイッチは、作りたてがおいしいことを。
数時間経って玉葱と胡瓜はしなり、食感の対比やアクセントとしての存在感を捨てていた。
そこで次は、刻んだ玉ねぎと胡瓜をタッパーに入れてもらい、鮭缶とマヨネーズを持たせてもらった。
昼休みに、鮭缶を開け、余分な水分を捨て、タッパーに入れて野菜と混ぜ、マヨネーズを入れる。
何度も味見をして、ほどよいマヨネーズ加減で大きく頷き、ようやくバンに挟んだ。
一口齧った瞬間に確信した。
鮭のサンドイッチは作りたてに限ると。
その時、一部始終を見ていた先生が言い放ったのが、冒頭の言葉である。
「お前は料理が好きなんだな。他にいろんな料理してみると楽しいぞ」
諭すのではなく、もしこう言ってくれたなら、どうだろう。
僕は今頃、料理人になっていたかもしれない。