若松店の場合は、と前置きしたのには訳があり、豚太郎のHPによると、
「豚太郎において統一されているのは、みそ、しお、しょうゆラーメンとギョウザの素材と価格のみ。その他のこと、つまりトッピングやセットメニューなどについては、各店舗の“自由”となっています。各店長の好みやアイデアが反映されているため、店によって味もメニューも異なるんです。」(豚太郎HP「豚太郎とは」より引用)ということなのであった。
今回は、「ミソカツラーメン」といってみた。
「お待たせしました」。
「おおっ」。ラーメンの上で一口カツが半身浴しているではないか。
揚げたてのカツをなぜまた液体に浸すのか。謎は残るが、まずはスープからいってみる。
懐かしの味噌ラーメンである。
昭和40年代に札幌から東京に進出して、ブレイクした味噌ラーメンの味で、今の味噌ラーメンほど味は濃くなく、優しい。
さあいよいよカツである。
濡れた衣とぬれていない衣の境目あたりをかじる。
味噌スープが染みた衣と、まだカリッとした食感を残す部分との、兼ね合いがいい。
カツとしての尊厳を残しながら、別の食べ物へと変身しまった複雑さがあって、価値観とは永遠ではないという示唆に富んでいる。
食べていて思ったのは、まだ汁がしみていないカツをかじり、すかさずラーメンをすすると、肉の味を受け止めた味噌ラーメンが妙に嬉しくなる。
そして時折、ふにゃふにゃになってしまった衣の部分をかじって、人生の無常を感じる。
深い。
ただ味噌ラーメンにカツを乗せただけのように思えるが、この料理は深い。
一緒に頼んだ、ソース焼きそばも美味しかったが、ここにきたら、やはりミソカツラーメンだろう。
周りを見れば、ミソカツラーメンを食べている人ばかりである。
食べ終わって思う。
このカツにソースをかけたら、どういう心境になったのかと。
微妙に味が違う他の店は、どうなっているのかと。
これは一度掘り下げなくてはいけない。