岡宗農園 メリーガーデン

高知の太陽を浴びて輝く、高貴な果物

食べ歩き ,

赤い果皮を剥くと、真珠の輝きが、顔を出した。

ライチである。

普段我々が見るライチは、黒茶の皮に包まれている。

しかしあれは、摘まれ、日数が経ち、老化した姿である。

さあ食べてみよう。
そっと唇を当て、噛んだ瞬間に慌てた。

果汁が、果汁が滝のように流れ出るのである。
じゅっ。ぽたぽたぽたぽた。

ほの甘い果汁が口から溢れ、唇をつたい顎へ流れ、下へと落ちていく。

その果汁の豊かさに慌てるのだが、さらに驚くのは食感である。

なにか、噛んではいけないような感覚が漂う。

そう、赤ちゃんのほっぺである。

いや少女の唇である。

柔らかさの中にいたいけな弾力があって、そっと歯を押し戻す。

そこはかとなく、危うい。

味わいは、まず柔らかな酸味が広がって、甘みが追いかける。

味の道筋はブドウに似ているが、味わいの芯にはかなさがあって、淡い色気に恋をする。

果皮が黒くなった冷凍のライチとは、ほど遠い。

生のライチも食べたことはあるが、都会で空輸されて食べるそれとは、はかなさが違う。

はかなさとは、つまり気品であり、高知の太陽と空気に恵まれ、愛情をかけ、育てられて生まれた資質なのだと思った。

さあ次はマンゴーをいただいてみよう。

マンゴーに秘めた気品とは。

7年前から栽培を始めたマンゴーは、かの有名な宮崎産太陽の卵を凌ぐ品質だという。

「糖分の組成が違うんです」と、生産者の岡宗俊介さんは、我が子を褒めるような優しい目をされた。

甘い香りに誘われて食べれば、甘さがぐっと広がるが、後味がきれいである。

これ見よがしの甘さではなく、口の中に甘い香りの余韻だけを残して、さらっと消えていく。

これもまた気品である。

気品は後を呼ぶ。

こうやってあのマンゴーを思い出すだけで、よだれが出始め、無性に食べたくなってくる。

マンゴーの最盛期は6月から8月、また行かねば。

■施設情報

岡宗農園 メリーガーデン

住所:高知県安芸市川北甲6951

電話:0887-32-0650

営業時間:9:00~17:00