駅弁勝負 第63番
今日 は東京駅の京葉モールまで足を伸ばした。
最近の「駅弁祭」はマンネリ化しているからである。
目に止まったのは、「塩麹鶏そぼろ弁当」だった。
お弁当お惣菜大賞2021で、4万2549作品の中より、大賞獲得したという駅弁である。
こりゃあ楽勝だなと思い、ついでにレバー串も一本買って、勝利の布陣を強固にした。
新幹線はガラガラで、対戦相手が少なく、離れている。
それでも探し出した。
4列先に座った推定60代前半男性は、座るなり袋からリボビタミンCを取り出した。
続いて出したのが、コンビニのクリームパン一個である。
もどかしいようで、乱暴にふくろをやぶるも、あむっとかぶりつき、すかさずリポビタンを飲む。
そんな飲み方では、半分食べるくらいで、なくなっちゃうよ。
それよりも味が合うのかなあ。
むむ。無性に試したい衝動に襲われた。
斜め後ろには、推定30代女性。
長い髪を髪留めで束ねた、面長の美人である。
スタバの紙袋からコーヒーを取り出して飲み始めた。
おい。食べ物はないのかい。
一方私の弁当は、拾い物であった。
そぼろはしっとりとして上品な味付けで、鶏本来の香りがする。
鳥の唐揚げも肉がパサつかずに、下味調味もいい。
俺にもっと勝負をさせてくれ!と、心の中で叫んだところで、女性が動いた。
スタバのベーコンエッグサンドを取り出したのである。
そして、少しずつ食べ出した。
三本の細い指で挟む姿が美しい。
時折唇につく卵を、舌を少し出してべろりとやる姿が、可愛らしい。
コーヒーの時はスマホをいじっていたが、パンを取り出してからはやめ、外景色を眺めながら、ゆったりと咀嚼している。
垂らした前髪がそのままなのが、妙に色気がある。
これは久々の負けかと思ったが、美人だからといって勝たせては失礼である。そこで、
食べる姿勢、彼女の勝ち。
弁当は、僕の勝ちとしてみた。
こういう勝負の決め方も、たまには許してね。
塩麹鶏そぼろ弁当 880円 京鳥
ご飯 2おかず 1 2価格2
箸2 特記 なし。郷土色か個性点ノスタルジー
総計8点(ごはん、塩麹そぼろ に卵
鳥唐揚げ 鳥つくね、大根サラダ 漬物 ししとう)