<駅弁勝負> 第49番     ~駅弁勝負〜

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~駅弁勝負〜
負けは覚悟の上だった。
久々の弁当勝負である。
朝6時ゆえに、JR東海パッセンジャーサービスの弁当しか売っていない。
熟考を重ねた上で、「シュウマイ弁当」880円を購入した。
なにしろあの巨星に対抗しようとする、挑戦欲がいい。
東京駅ではあまり見かけない気がするので、間違えて買う人を狙ったのでは、という疑惑もあるが、ここまで堂々としていると、すっきりする。
また、巨星より高いというのも、勝負しようとする姿勢が見えて、潔い。
まずは、御飯である。
中々いい。巨星のもっちりには及ばないものの、合格点のおいしさがある。
そしてシウマイならぬシュウマイは、干貝柱のうま味詰まったという「肉焼売」と、海老の食感を活かしましたという海老焼売が、各3個である。
芥子は、肉焼売だけにつけた。
おお、中々おいしいではないか肉焼売。
頑張ったね、開発者と、声をかけてあげたいほど上出来である。
一方海老焼売も頑張っているのだが、御飯喚起力が弱い。
ウリである海老の食感も、どこかに置き忘れたらしい。
「コレなら肉焼売が5個の方がいいや」と、思わせてはいけないという、基本理念が突き破れていない。
そして、他のおかずが寂しい。あまりにも寂しい。
きっと海老焼売にコストをかけすぎてしまったのだろう。
から揚げは巨星より大きいものの、紅生姜に、記憶に残らない程度の揚げピーマンに、意味がよく分からない、キャベツの塩ダレ焼きである。
あらためて、筍の醤油煮の偉大さが確認できた。
さて、肝心の勝負である。
隣は、出張か出張帰りか、20代後半のサラリーマン。
コンビニのおにぎり弁当である。
買う時間がなかったのかもしれないが、スマホを見ながら食べている。
若者よ。もっと勝負をさせてくれ。