「食文化は、簡易にしたり効率を求めると、本質が変容してしまう」。
食万博「ミストゥーラ」の真っ当さを表していたのが、一番の行列ができていた、パン屋さんだった。
何気なく見て驚いた。
なんと、れんが造りの窯が三つ設営されている。
簡易の窯ではない。
土台からしっかり作った窯を、たった10日間のために三つも造ちゃったのである。
いったい何ヶ月前からやっているのか。
公共の場に、一から窯を造り、10日後にはなんなく壊すという発想が素晴らしい。
「やっぱりパンを焼くのは窯でしょう」と、許した主催者もエライ。
そしてどうやってどれくらいの日程で搬入したのか、膨大な数の薪が、うずたかく積まれている。
さらには茅葺き風の家まで造っちゃってる。
すごいぞパン屋!!
薪窯焼きのパンは、もちろん焼きたてで、噛めば素朴な小麦の香りが口の中で爆発して、幸せを運んでくるのであった。