白金「洋食マロニエ」

雪を抱いた赤き頂。

シメご飯 , 食べ歩き ,

赤い山は、白皿の上で雪を抱きながら、そびえたっていた。
たっぷりと振られたチーズは、見る見るうちに熱で溶け、パスタにしなだれ、甘えていく。
パスタは、溶けたチーズの艶で輝き、「早く食べてよ」と、誘いかける。
たまらず、パスタをフォークで持ち上げ、皿に取ろうとした。
太い。
なんとこれはブカッティーニではないか。
ナポリタンとこの乾麺との出会えせるとは、なんたる喜びであろうか。
口に運ぶ。
トマトソースとケチャップの、抱き具合がいい。
ケチャップの迫力とサルサポモドーロの優しさが、自然に溶け合い、なんとも仲睦まじい。
細かく切った玉ねぎとベーコンの旨味が、そっとした支えしながら口元にズイズイと登ってくる。
ヤンキー娘がナポリのマンマに、優しく抱き竦められている。
そんな味わいが、もちっとした太い麺にからみ、麺の穴にも入り込んでいる姿を、味を想像してみて欲しい。
ほうら、思わず笑っちゃうでしょ。
ピーマン、マシュルーム、ウィンナーは大ぶりに切られて、太麺と歯の間で弾み、躍り合う。
二人でシェアして分けたが、できれば一人で、脇目も振らず、一気呵成に食べたかったなあ。
白金「洋食マロニエ」のナポリタン。