酔っ払って気がつくと、カレーうどんを頼んでいる自分がいた。
錦のカレーうどんは、いけない。
とてもいけない。
10回ほど噛んでなくなる、コシがあるのか弱いのかわからないうどんに、まろやかなカレー味がからんで、チュルチュルといってしまう。
肉うどん、ころ、きつねうどん、山菜うどんなどメニューはいろいろあるのに、カレーうどん以外食べている人がいない。
皆座るなり、「カレー」、と一言しか言わない。
あるいはカレーを省いて「大盛り」とい人もいれば、「冷たいの」という裏メニューを頼む通もいる。
うどんは次々と茹でているが茹で置きで、注文が入ると適量丼に入れ、再びかまで温めてから丼に戻す。
雪平鍋にマッシャーで、自家製カレールーを入れる。
お湯をオタマ一杯。うどんつゆをオタマ一杯。ルーを煮溶かしていく。
その間に、角切りにした厚揚げ、豚こま、ネギを入れ、様子を見ながらお湯を3回ほど少しずつ垂らしながらスープを作る。
出来上がったスープを、うどんにかけ、合計2分で完成である。
このうどんつゆが曲者なのかもしれないと、後日きつねうどんを頼んでみた。
すると醤油が効いた甘めのつゆで、カレーに入れられる淡い茶色のつゆとは違うことが判明した。
しかも刻みネギも違う。意外に芸が細かい。
あのカレーつゆに入れる淡茶色のつゆは、おそらく昆布カツオの出汁に、みりんと白醤油を加えたものか。
このカレーうどんの麻薬性は、カレーに潜んだ甘さではないかと思いながら、今夜もカレーうどんをすする。