ほうら見てごらん。

食べ歩き ,

ほうら見てごらん。表面が膨らんできた。
10分焼かれて裏返されたお好み焼きは、再び加熱されて熱くなり、中から蒸気が逃げようとするが、逃げ場がない。
生地もキャベツも豚肉もじっくり蒸されていくのさ。キャベツは甘いエキスを生地に溶け込ませ、豚の脂は溶けてキャベツを包み込む。
こうしてここのお好み焼きは、合体していく。
決して触ることなく、音と匂いだけで中の様子を感じ、静かに見守るのさ。
やがてソースを塗られ、鰹節と青海苔で、化粧品をされる。目の前からただよってくる鰹節の香りがたまらない。
そっとコテを当てられて切られ、皿に盛られた。
ああ。福竹の珠玉がもたらす幸せがやってくる。

2017