銀座「エスキス」の

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銀座「エスキス」のテーブルの上には、メニューがない。
代わりにシェフが描いたメッセージカードが置かれている。
「勢い」。「裸木」。「包容」。「不死鳥」。「約束」。
季節への敬意を言葉にし、絵を描き、カードにするようになって、一年がたつという。
 「自分の思っていることをお客様とわかちあいたい。私の発露を感じ、たぐりよせていただくために、始めました」と、リオネル・ヴェガシェフは言う。
 最初は、自分の役に立つことかはわからず、絵の才能があったわけでもなかった。
 しかし始めていくうちに、皿の仕上げ方が変わり、自分自身を見直すことにも役立ったという。
「このデッサンを書くのは、一つのセラピーのようなものです。自分の中の闇の部分や、嫌な、見たくない部分を認め、自分を裸にする作業。でも料理とはそういうものだと思うのです」。
日本の食材から今まで誰も気付かなかった魅力を引き出し、感動させる。
そんなエスキスの料理には、リオネルの哲学が息づいていたのである。
日本人の意識以上に、禅の心を感じさせるリオネルのインタビューは、今発売中の「料理王国」の「隠れたファインプレー」にて。