「ぽん多本家」のタンシチューである。
運ばれた瞬間に、息を呑む。
真においしいものというのは,佇まいだけで力を放つ。
値段は6050円。
一般的なタンシチューとしては,高価だろう。
料理にコスパという言葉は使いたくないが、この料理は、驚くほどコスパが高い。
使われているのは、黒毛和牛のタン元である。
タン一本から、4人前しかできない。
一本の仕入れ値は、19000〜20000円。
つまりタンの原価だけで、一人前5000円である。
ソースのルウは、焦がさないように毎日毎日丹念に炒め続け、白茶色から焦茶になるまで三週間かける。
(2枚目写真参照 3枚目は木のしゃもじかこの炒めてこれだけ減る)
そこへ牛のフォン、牛肉、赤ワイン、トマトベーストなど数々の要素を入れて作り上げる。
付け合わせの、人参,じゃがいも、椎茸も質が高い。
真のタンシチューを作ろうとすれば、これだけコストがかかるのである。
ご飯,おしんこ,味噌汁のセットは550円。
ご飯も味噌汁も最上級だか、要はお新香で、自家製たくわんなのである。
今日本中で、自家製たくわんを出している食堂が、どれだけあるというのか。
効率が求められる時代、どこにもないこの古き良き誠実な仕事を、6600円でいただける意味も含めて、安いと思う。