言葉を選んでいった

食べ歩き , 日記 ,

薄氷を踏むが如く慎重に、空高く舞う鷲のように自由に、言葉を選んでいった。
山本益博さん 里見真三さんら、先達が記された文を改めて読み返し、出来る限り自分の言葉を探して書くようにした。
尊敬する方々が書かれ、もうこれ以上書くことがないほど紹介されているが、まだ見ぬ魅力もあるはずだと信じ、懸命にまさぐった。
推敲を重ね、能力の乏しさに痛みながら、92歳のすし職人の卓越した技と考えを表そうとした。
崇高にも、安易にもなりすぎずに、読んでお腹が空くようにも書いてみた。
全20貫、一つ一つの味の表現は、口中内での味の変化を辿りながら、綴ってみた。
プレッシャーがかかった仕事だったが、機会を与えてくれた、ディスカバージャパンと間を繋いでくれたIさんに、そして快く取材を受けていただいた、小野二郎さん禎一さんに、心から感謝したい。
物書きの端くれとして、難関の山に挑めたことが、なによりも嬉しい。
本日発売、「ディスカバージャパン1月号」巻頭12P特別企画
「すしの神様「すきやばし次郎」小野二郎の仕事」。