西麻布「ル・セヴェロ」の骨つきリブロース

食べ歩き ,

ばば君のお母さんは、上質なお椀のようだった。
最初の一口はさりげない。
しかし、一噛み二噛みして行くうちに、うま味が増していく
さらに、一切れ二切れ食べて行くうちに、うま味が蓄積して、興奮が高まっていく
ジビーフの養分が、人間の歯で粗食され、唾液に溶け、味蕾に染みこみ、積もっていく。
最初から正体を見せ、一口で「うまぃっ!」とは叫ばせない、野生の品格がある。
時間をかけて人間の味覚に訴えていく。
そうして最後の一切れで頂点に達し、「うまいっ」と叫ばせる。
こんな牛肉は、他にはない。
自然に育った生物の滋養を、人間が解するとは、こういうことを言うのではなかろうか。
西麻布「ル・セヴェロ」の骨つきリブロース