彼女たちの素敵な笑顔か、そのまま味わいに染み込んでいた。
南インドに惹かれて、出身が違う2人は出会い、遠く石垣島で店を始めた。
テーブル二つだけの小さな店である。
島の野菜と豆とスパイスを使い、毎日カレーやサブジを作る。
それをレモンライスやターメリックライス、ミントライスにかけて、食べる。
「おいしい」。
一口食べた途端、思わず安堵の声が漏れた。
野菜やスパイスに敬意を払った味だった。
塩加減も、辛味加減も、旨味加減も、これ以上でも以下でもない。
開業して一年だというが、ずうっと昔から作っていたかのような、自然がある。
石垣島に流れる空気に合わせたような、安寧がある。
素直で無邪気な味であり、心をじっとりと温める。
それはまさしく、彼女たちの笑顔と同じだった。
石垣島アナンダキッチンにて。