看板もない

食べ歩き ,

看板もない。そこが店だと示す気配もない。
普通のマンションのエレベータに乗り、11階が開くと、いきなり店だった。
眼下に市内と海を見下ろし、地平線に夕日が落ちていく。
ポルトガルに旅をした希少なキューバ人のオーナーが開いた、ポルトガル×キューバ料理の店である。
前菜は、山芋と里芋の中間の食感と甘味に、タロイモの香りを加えたようなマランガという芋のフライと、アホアというイワシの稚魚と思われる魚の炒め物。
マランガのねっとりとした食感と少し辛味の効いてカリッとした衣の対比がよく、蜂蜜にサフランを溶かしたソースがいけている。
メインは、ピカディロ・ア・ラ・ハバナという、刻んだ牛肉を、グリーンオリーブとハーブ、レーズンとともにクレオールソースで煮込んだ料理。
そしてバカラオ(干しダラ)を、恐らくクリームソースと一緒に煮込み、オーブンで焼き上げた料理である。
牛肉は優しいうま味があって、複雑な香りが溶け込んで、恋しいうま味がある。
バカラオは、味が足りないのではと思うほど、上品な味付けである。
しかし御飯をあわせ混ぜて食べると、御飯の甘味とであってうま味が増す。
さらにガルバンゾ豆のソーセージ入りトマト風味煮こみも参加させ、ぐちゃぐちゃに混ぜて食べると、混沌のおいしさやってきて。一気に幸せの指数が上がっていく。
もちろん牛肉煮込みも、しかりである。
プリンもしっかり焼いてあり、カラメルは黒砂糖だろうかコクがあった。。
ハバナ ポルト・ハバナにて。