白桃は望んでいるのだろう

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白桃は望んでいるのだろう。
日本人が、宝物のように扱い、気品のある甘さを汚さぬように扱っていることに感謝しながらも、望んでいるのだろう。
私をもっといたぶって。たくましくしてと。
そんな望みを叶えたデセールが、銀座「ドミニク・ブシェ」にあった。
桃を赤く染めるのは、クロゼイユの甘いソース。
赤く、濃く、甘みを強めたソースは、桃抱き合い、高め合う。
繊細な桃の甘みは、ソースに負けることなく、艶を帯びて、我々を夢の中へと誘ってゆく。
思わぬ桃のあでやかさに、心が揺れ動き、唇がひりりとしびれる。
アラン・デュカスが「世界一のメルバ」と絶賛したという、波多江篤シェフ渾身のデセール「桃のポシェメルバスタイル バニラアイスクリーム」。