深深と冷えた

食べ歩き ,

深深と冷えた、金沢の夜に溶け込む静かな料理だった。
自家製の胡麻豆腐は、その朴訥な味わいで、味蕾をゆっくりと目覚めさせ、カブやネギ、小松菜やレンコンで、心を安らげる。
締めは香箱ご飯が炊き上がった。
濃密な内子の香りにご飯の甘い香り、そこへおコゲの香ばしさが加わって、口に運んだ瞬間から、幸せが膨らんでいく。
カンター六席。喫茶去。
ご主人一人が切りもる小体な空間には、豊かな温情が満ちていた。
「竹千代」 金沢