油條は、一家の長男らしき筋肉男が、手つき鮮やかに作っている。
焼餅は、美人の妹が手早く作っている。
そしてお父さんが餡餅を焼いている。
四維二路に面した「老荘豆漿店」には、朝から長蛇の列が出来ていた。
どんなに忙しくとも、作り立てを提供する。
どこも誠実が店の繁盛を呼び込むのである。
店の家族が総出で、生地を伸ばし、切り、整形し、揚げたり焼いたりしている。
厚いナンのような餡餅に、卵を挟んだクレープ状の焼餅を包んだのが、「焼餅加蛋餅」で、頼んでいる人が多い。
現地の人に習って、ここに油條を挟んで齧りついた。
層が出来た餡餅はふわりと歯が入ると、焼餅は薄いながらもモチモチとした食感で、油條はサクッと軽く、油を一切感じさせない。
この三つの食感が楽しく、先ほどホテルで朝食を食べたというのに、するりと胃袋に収まってしまう。
合間に豆漿。
豆の香りがして豆腐ならではの優しい甘みがあって、こいつも止らない。
どうしよう、これから牛肉麺もハシゴしようとしているのに。