永遠。

シメご飯 , 食べ歩き ,

名古屋にあるその店は、若き女将が1人で切り盛りするおばんざい屋だった。
「締めご飯は何があるの?」
そう聞くと
「焼いた甘鯛を炊き込みご飯に混ぜたものがごよういしてます」という
おおそれは贅沢だなと思ったが、ちょいとイタズラ心が働いた。
「エビはある?」
「車海老はないんですが、伊勢海老ならあります」。
「なら伊勢海老で天むす作ってよ。ここは名古屋だし」と、無茶振りしたら、
「はいわかりました」と、大きな伊勢海老を取り出し、包丁を入れた。
伊勢海老を天ぷらにし、炊き立てご飯でおむすびを作る。
ああなんてことだろう。
出来立ての伊勢海老の天むすである。
甘みが濃く、身がはぜて、甘い米と口の中で舞う。
「うまいっ」。
不覚にも、思わず叫んでしまった。
店の名は「ご馳走とわ」という。
「とわ」は若女将の名前「永遠子」から取った。
父が永遠に愛されるようにと願いを込めて、つけた名前だという。
大丈夫、君の器量ならきっとそうなるよ。