「去年松茸を一山買って、冷凍庫に大量の松茸があり困っているんですけど」。
それを聞いたFPMの田中くんが
「じゃそれを使ってイベントをやろう」と、自らを窮地に追い込んでしまった。
しかしどんな料理を作るか?
そこで田中くんから相談され、僕が巻き込まれることになったわけである。
一山買っちゃうなんて面白い。とても素敵で、なんとめちゃくちゃな会社だろう。
しかし相手は冷凍である。
松茸料理と言って皆さんが考える、炭火焼や土瓶蒸し、松茸ご飯は、死んでもやりたくない。
まず、僕が今まで食べてきた松茸料理の中でベストと思っている料理、二つをやろう。
「すき焼き」と「フライ」である。
昨日松茸の相場は、キロ約26000円、しかし大正3年の相場は、キロ1500円くらいで椎茸より安かった。
だからこそすき焼きやフライにして、身近にあったわけだね。
すき焼きは、牛と牛すじを焼いて割り下で味つけた鍋で松茸を炒め、牛脂と牛の旨味をまとわせる。
フライは、都内の有名トンカツ屋のパン粉を特製している中屋パン粉の社長にお願いして、松茸フライ用のパン粉を作っていただいた。
さすが松茸の食感と香りを生かす、超きめ細かいパン粉である。
あとはどうするか。
一つは薬膳スープを作ろう。
レンコン、切干大根、干し椎茸、クコの実、松の実入れてジェノヴェーゼ風にしてみる。
そして松茸の佃煮を食べて干瓢につながることに気づいて、細巻きにしてみた。
最後の締めはどうするか、リゾットや炊き込みご飯、パスタでは芸がない。
そうだ焼きそばがあったか。
過去誰も、松茸を焼きそばにしようなどと。おバカなことは考えなかったはずである。
松茸のソテーをどっさり乗せてやれ。
しかしそれではまだ味が弱いことがわかり、松茸のラグーを作った。
松茸を細かくし、フライパンでじっくりと火を入れながら水分を抜いて凝縮させる。味の補填として、白だしと昆布出汁を少し。
99%松茸ラグーを焼きそばにたっぷりとかけ、ソテーをどっさり乗せる。
20人で松茸約6キロ。一人300g。
DJは田中くん。麺は、浅草開化楼の焼きそば専用麺。
最強である。、