荻窪「はつね」
1961年創業
西荻窪駅南口にひっそりと佇む、カウンター7席だけの小体な店。
先代から引き継いだ2代目ご主人と奥さんの夫婦二人できり盛る。
店内は隅々まで清潔感に富み、その中でご主人が一部のすきもない流れでラーメンを作る。
一流割烹の如く、その丁寧で無駄なき仕事は、見ていて清清しくなる。
ラーメン六百円。
熱々のスープをすすれば、醤油の香りとともに、丸みのあるうまみが舌に広がって、思わず微笑む。
そのスープにもちもちとコシを弾ます中太縮れ麺が絡む。
注文の都度切られるチャーシュー(二枚)は、厚切りでしっとりと肉汁がにじむ。
他の具は、焼き蒲鉾、海苔、鞘インゲン、葱。スープ、麺、具、どれが突出することなく、見事なバランスでまとまった、これぞ東京ラーメンの醍醐味。
さりげなさの中に、繊細な計算と丁寧な仕事を盛り込んだ東京の職人の誇り。食べた後、春の陽だまりを身体に浴びたような、穏やかな気分にさせてくれる。
ラーメンが気に入られたなら、ぜひタンメンやもやしそばを。