三鷹「江ぐち」閉店

20年の隔たり。

食べ歩き ,

朝起きると携帯が無かった。 
今年三回目である。 
タクシーの中に置き忘れていた。 
酔ってタクシーの中で電話をしない 
と誓ったのに、懲りていない。 
だが、結果として 
1,普段あまり行かない駅にいけるという利点がある。 
2,プチ旅行気分を満喫できるという利点がある。 
3,その駅近辺のうまい店にいけるという利点がある。 
というわけで三鷹で降りた。 

「江ぐち」に向かった。 

20数年ぶりだぜい。
確か昔はバラックだったなあ。 
愛想の悪い、寡黙親父に代わって息子が引き継いでいた。 
反面教師なのか、愛想がいい。 
隣の客がタバコを取り出し、口にくわえようとしたら 
すばやく火を差し出した。 

「ホストより早いです」と、冗談一つ。 

「おまちどお様でした。肉入りです」。 
「ワンタンです」と、明るい声で丼を渡してくれる。 
うん、気分がいい。 
さて、 「江ぐち」の流儀に従い 、昼だがビールに竹の子。
一本飲み終わる寸前に 「五目ワンタンメン」 と、頼む
そばのような色合いのコシの強い麺に、醤油スープ。 

鳴門やハムが泣かせるなあ。

勿体つけていない市井の味。それがいい。 
行列もなく、 客はほとんど常連 
それがいい。 
20年前は、心に響かなかった。 
しかしいまは、これでいい。