朝起きたら「ういきゅう」が突然食べたくなった <京都の平生>11

食べ歩き ,

朝起きたら「ういきゅう」が突然食べたくなって、祇園に走った。
「切通し 進々堂」は、街の喫茶店と呼ぶのにふさわしい小さな店で、家族で営まれている。
祇園の真ん中にありながら、静かで、観光客はいない。
なにしろこの紅葉で混雑する日曜日の午前中、客は僕一人だけなのである。
「ういきゅう」は、半分に切って炒めた赤ウィンナーと胡瓜の薄切りをトーストで挟んだサンドイッチである。
赤ウィンナー、胡瓜、トースト。
それだけでありながら、思い出すと無性に食べたくなってしまう吸引力がある。
色々試してみたが、胡瓜を下側にして食べるのが、一番いい。
サクッと香ばしいトーストに齧りつくと、直ちに歯は胡瓜に到達し、「ガリッ」と、音が響く。
この胡瓜の痛快な食感と、赤ウィンナーの頼りない食感の対比が、たまりません。
胡瓜のみずみずしさと、赤ウィンナーの下品な味わいの出会いが、たまりません。
両者を取りまとめるトーストの役回りもいいですネ。
この「ういきゅう」、正式名は「上ウィンナートースト」という。
「ウィンナートースト」が300円、「上ウィンナートースト」が330円。
常連は誰も「上ウィンナートースト」なんて言わすに、「ういきゅうちょうだい」という。
きっとこれにはかなわないけど、魚肉ソーセージを炒めて、胡瓜と挟んでやろうかな。
食べながらそんな夢想をして、一人でほくそ笑んだ。